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メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第192号 ’04−02−13★
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代わる、変わる
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●ニッポンがやたら元気で
アメリカの企業や不動産を買ったり、良かれ悪しかれ話題になった時期
も(長くはなかったにせよ)ありましたが、今は買われる側。 買い手
が反対側の海を越えて来るあたり、ちょっとヒッカカル、かな?
一旦失ったらツキは戻らない。 文明史的にも、<陽はまた昇る>
の例は無い。 だから、<沈む>のを少しでも遅くしなくちゃ、、
1月31日のNHK、ETVスペシャル<日本を買う中国>は、〜ある
印刷機メーカーの現場から〜。 <両面同時多色刷り>など高度な技術
を有しながら不調に陥り、3年前ついに民事再生法適用申請のやむ無き
に至った茨城県水海道市<秋山印刷機製造>のケース。
プライド? 狭い了見、棄てましょう。 経営者の<輸入>、とか
プラス思考しなくちゃ。 日産自動車V字回復の例もある、少しは
<遅く>できるかも。
*
大型印刷機メーカーは世界中に僅か6社、うち3社が日本、その一つが
秋山、、 とは存じませんでした。 中堅印刷機メーカー経営の友人が
昔、ドイツのハイデルベルク社がダントツ、と言ってましたが、、
我が友人の事業は今も隆盛、<すべてはマネジメント次第>の証明。
この番組もその点に視聴者の目を向けさせることが目的、でしょう。
1台数億円の高額受注生産。 バブル崩壊で、受取手形が次々不渡りに
なり、財務失調。 リストラを重ね、規模を縮小し、、も及ばず、窮余
の一策、事業を引き継いでくれる国内企業を、と必死で探したが、
PPA的安全策の講じ方が不十分だったのでは? 顧客は印刷業界、
その体質が一般的には強くないことくらい知っていただろうに。
どの相手にも「要るのは技術だけ。 人間と設備は要らない」と言われ、
断念。 折も折、昇竜の勢い中国は<走出去>、企業の海外進出を国家
戦略とし、日本にも触手を伸ばしていた。
かくて「捨てる神あれば拾う神あり」、(この番組はそこを省略したが、
産業再生機構の仲介で)2001年、日本企業買収第1号となって国営
コングロマリット上海電気集団から胡雄卿社長が送り込まれて来た。
* *
すでに国有企業社長を歴任して実績を挙げた人、F先生式人柄判別では
<第2象限第2傾向>、信念と努力、正義感、粘り強く物堅いタイプ。
「印刷技術は日本の15年遅れ。 もの作りに国の未来を賭ける中国の
期待を担ってやって来た」と。 頻繁に社員集会を催し、自ら趣旨徹底、、
は立派だが、当然中国語。
社員に降りかかった予期せざるコトバ問題。 いっそ英語で、なら
お互いのために公平なのだろうが、その点この番組では触れられず。
しかし後述▼の通り、それに起因する不具合は現実に生じている。
たまたま外資系リストラ頻々の時期、社員たちは不安。 だが胡社長は
削減どころか以前退職させた高年技能者にも復帰を求め、「有り難い。
まだ元気なもので、、」、ベテランたちは今、後継者育成に励んでいる。
技能はそのようにして継承されるものなのに、長い不況で熟練者は
棄てられるばかり。 製造業界のアチコチで<断層>が生じている。
「図面や特許も大切だが、熟練工が持っている技術が大切」、「技術の
蓄積は工場の財産、これを継承させたい」と言い切る胡社長は文字通り
「有り難い」人。 そのアタリマエが分からない、言えないのがトップ
でいられる我が日本、もう長くはない、でしょうな。
「中国側はかつて世界を制覇したメイド・イン・ジャパンのもの作り
の背景を徹底的に調査し、その上で日本へ進出」するという解説で、
我が国にはその種調査・評価力が無いみたい。 いや、無いのかも。
胡社長、「優れた技術を持っていたのに何故経営危機に陥ってしまった
のか? 、、、そうなるべきではなかった。 優秀な人材を残し、我々
中国企業の強みを取り入れれば、、、優れた企業に生まれ変わります」。
* * *、
で、まず年功序列を廃し、若手を抜擢。 現在実質的責任者である近藤
副工場長は当時33歳の係長、<3階級特進>。 かつては自分の上司
だった人々を今は査定する立場。 たとえば賞与額、
「最高と最低とでは7倍ほどの開きがあります。 能力評価にしたので
当然」、とグサリ。 「不安だったが、誰かがやらなくてはならないし、
認められたのだからできるところまでやってみよう」で引き受けた由。
若い社員たちも、「仕事が出来ないのに威張っている年取った人は気に
入らない」、ご尤も。 いつか彼ら自身がそう言われることの無いよう、
せいぜい頑張って欲しいものです。
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●実力主義と競争原理、
を資本主義者が唱えるのならともかく、共産党員の胡社長が掲げる愉快。
自ら月の半分は中国市場へ出てトップセールス。 就任以来売り上げを
9倍にしたが、<価格の壁>をも痛感。
「中国の価値観に合わせなくては、、」と社員にコスト削減努力を要請。
「会社の命運を握るのは中国市場。 内部問題であるコストを解決せず
に高価格を客に押し付けるわけには行かない。 古い考えを棄てよう」。
*
で、中国製部品の調達開始。 しかし日程通りに納入されず、部品待ち
未完成品がラインに停滞▼、原因は主にコミュニケーション不良。
中国業者への連絡は上海電気集団日本支社を通じる仕組み、直接でない。
そのため翻訳や確認に手間取るほか、正式名と現場呼称の違い、両国の
専門用語の違い、製法・加工法の違いなどで品質不良となり、作り直し
で納期遅れになる。 未だに試行錯誤の段階。
英語に加えて
Rational Process のワークシートを使えば、ヌケ・モレない伝達が可能、しかも長文不要。 教えて上げたいなあ、、
昔、電源メーカーNL社の研修で、すでに始めていた<部品の海外
調達>をPPAしてみたら、「英文翻訳後、元図面と照合する部署
が無かった」事実が浮上。 三遊間の守備空白に一同愕然、でした。
一方、在来の国内部品メーカーには納入価格引き下げへの協力を求めた
のだが、その会合場面、秋山側担当者のココロ無さが印象的。 まるで
棒読み、「日頃から申し上げております高品質、低価格、短納期を提供
して下さい」、Take のみ、give 無し。 さよう、役人的。
個別に、具体的に、肩を並べて、などの工夫一切省略。 「市場の要求
に敏感になることを社員と協力会社に求める。 それを伝えてくれ」が
胡社長の希望なのに、あの担当者のあの無神経さでは、、の懸念。
* *
しかしながら商売大事。 ある部品工場では人件費を詰めるため、社長
自ら4割カット。 「中国とやって行くには必要。 全員と個別に話し、
有給休暇を与えて職安へ行かせ、失業したらいくらもらえるか明細書を
持ち帰らせ、それに2万プラスした額で働くか、ほかを探すか、と、、」
具体的に迫った由、立派な工夫、省略なし。 同じレベルの仕事で競う
なら、生活レベルもアチラ並みにする覚悟でないと、、ということ。
ともかくも部品メーカー70社の協力で製造原価20%引き下げに成功、
「これが中国向けだけでなく、国内向けや欧米向けにも反映されて売り
上げ増大。 <中国を制する者は世界を制する>」とはやや安直な解説。
彼ら70社がイタミに泣くだけに終わらぬよう、陰ながら祈りましょう。
* * *
そして某日、上海市政府視察団が来訪。 上海市と中央政府が許可した
特別プロジェクトであり、中国国有企業による日本企業本格買収第1号
なので、成果を詳しく調べ、今後の日本企業買収への参考にしたい、と。
<買収成功>の目処はまず<売り上げ目標達成>。 それは胡社長にも
「非常にプレッシャー、、」、「このプロジェクトの成否に今後の中国
企業による日本への投資の未来がかかっているので、必ず成功するよう
に要求されている。 非常にキビシイ、、」 誰一人楽してないわけ。
* * * *
技術研修のために中国の若者たちが送り込まれ、一世代前の機種で訓練
を受けている。 将来は中国で共同生産する計画、即ち中級機種は中国
に移すが、「新製品はあくまでも日本、として世界一流の技術レベルを
保ち、この会社をもっと素晴らしい企業に育ててゆく、、」と胡社長。
その「確固不動の方針、、」を信じますが、どうなるかは日本人社員の
頑張り次第。 何せ中国研修生、「中国で世界最高水準の印刷機を作る
ことが夢。 中国には潜在力がまだまだあります。 必ず中国で一流の
印刷機を作って見せます」と。 前号<12才>もだったが、気概十分。
こうした気概の前には技術優位など脆い。 かつては我々も気概に満ち、
頑張って<追い付>き、ある部分は<追い越>しもした。 その気概を
日本は失い、意気盛んな中国に迫られている、、
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●ゲスト、一橋大学大学院関満博教授
の解説。 「中国は、、図面だけでは出来ないものがある、と分かって
来た。 その技能や熟練を日本は今棄てている、中国は評価している」。
その違い、かつてのアメリカと日本。
「要るのは技術だけ。 人間と設備は要らない」が日本企業の判断、
技能や熟練の値打ちがワカラナイのがトップだから。 サーモ屋は
その辺からして
different でしたがね、、
「中国流人事は能力主義と若手の抜擢。 それが(世界では普通だが)
日本では出来ない、、」。 やはり我が国、異質? いや、トップが
変わればみんなやる、出来る。 異質なのはトップ、だから変われ!
と言っても変われない。 だから代わってもらうしかない、<世界では
普通>のことが出来る人に。 しかし代わってもくれない。 そのうち
不調に陥り、運が良ければ<世界>に買われ、海の彼方から我が国のと
は異質なトップがやって来て、、
で、マネジメントの仕方が改まり、V字(ではなくとも)的に業績
が上がるのなら、経営者の<輸入>、働く人には悪いことじゃない。
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「我が国製造業得意の5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)にもう一つ
<スピード>を加え、中国は6S。 確かに中国は判断や行動が速い」。
確かに我が国は判断や行動が遅い。 Rational Process を使えば
スピードは上げられますが、肝心のトップが
irrational では、、
「今や<中国のコスト、日本の品質>が世界標準。 中国は日本並みの
品質を実現しつつあるが、日本のコストは中国レベルには行けまい、、」
「ベテランの再起用で日本の技能は中国の若者に継がれ、世界の財産に
なるだろうが、日本は社会も企業も高齢化、、」、つまり、、絶望的?
* *
中村修二教授の200億円勝訴(の先は未だ知れないが)などを契機に、
我が国の技術者・技能者冷遇の伝統?が改まって来れば、その道を志す
若者が増え、<また昇る>方へ向かうかも、、
と期待したいが、何年もかかる話。 トップを<輸入>する方がよほど
確実でしょう。 そしてその時役立つのは
Rational Process と英語、これはさらに確実。 あなたのPPAにもそう出ている、のでは?
■竹島元一■
■今週の
<私の写真集から>は ★ただ悲嘆、、★================================================================
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